施設管理法人に激震!駐車場の管理は公益にあらず?
2008年2月20日

非営利法人総合研究所(NPO総研)
主席研究員 福島 達也

 

国会では、道路特定財源をめぐって攻防が続いているが、意外なところから財団法人としての公益目的事業かどうかの判断が下されようとしている。

それは、国土交通省が道路特定財源を使って全国14カ所の国道の地下に整備した駐車場の利用が低迷している問題で、民主党の前原誠司副代表が、「こうした駐車場の管理は、財団法人でやる必要があるのか。民間でできるのではないか」と質問したことからはじまった。

その答弁の中で、冬柴鉄三国土交通相は、駐車場の整備・管理運営事業などを手掛ける国交省所管であり、天下り先でもある財団法人・駐車場整備推進機構について「いろいろと複雑な問題はあるが、民間でできないということではない。競争条件を定めて民間でやれないか検討したい」と述べ、民営化を含めた組織見直しを検討する考えを表明した。

 駐車場の管理を目的としている財団は、地方自治体の外郭団体にも多い。もし、この問題で、駐車場の管理は公益目的とはいえないということになうと、多くの○○市施設公社などは公益の舞台から消えていくことになる。では、本当に公益目的にならないのか?

3月に発表するガイドラインの公益目的チェックポイントの中で、駐車場の管理に該当するであろうものとして「施設の貸与」がある。この「施設貸与」が公益目的に該当するためには、一定の施設を個人、事業者等に貸与する際、公益目的として設定された使用目的に沿った貸与がされるかという点に着目して事実認定することになっている。

もちろん、施設を効率的に利用する等の理由から公益目的以外で貸与することも多いだろうが、その場合には、公益目的での貸与(公益目的事業)と公益目的以外での貸与を区別した上で、費用及び収益を配賦する必要がある。

また、公益目的事業としての「施設の貸与」は、施設を貸与することによって公益目的を実現しようということを趣旨としている必要があるということで、公益目的事業のチェックポイントを2つ定めている。それは・・・


@ 当該施設の貸与が不特定多数の者の利益の増進に寄与することを主たる目的として位置付け、適当な方法で明らかにしているか。

A 公益目的での貸与は、公益目的以外の貸与より優先して先行予約を受け付けるなどの優遇をしているか。

 上記のポイントを駐車場が果たしてクリアしているのだろうか?

国土交通省では、現行の公益法人を許可した際、こうした事業は、民間駐車場の経営を圧迫しないためにも利益を目的としない公益法人が管理・運営にあたる必要があったと説明している。

しかし、その説明では、@は満たしても、Aは満たしていない。誰でもお金さえ払えば利用できるのであれば、公益だろうが私益だろうが、まったく意味を成さない。こうしたことから、駐車場の管理そのものを目的としている法人の公益性は、非常に難しいといわざるを得ない。

さらに、今回の問題で町村信孝官房長官も、社団法人として各地方に設けている建設弘済会や建設協会に関しても「(駐車場機構と)同じ発想で洗い直してもらう必要がある」と組織見直しの必要性を指摘している。この分野も天下りや出向者が多いうえ、随意契約の割合が高いなどと以前から批判が出ていたのだ。

今回の国会の審議は、公益法人として施設管理を主たる事業としている団体に大きな影響をもたらしそうである。このまま、野党ペースで国会審議が進んでいくと、かなり多くの施設管理法人が槍玉となり、公益の舞台から消えて行くことになろう。

ますます国会から目が離せなくなった。

非営利法人総合研究所

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